兵法秘術一巻書・〓〓内伝金烏玉兎集・職人由来書 (日本古典偽書叢刊)

このアンソロジーは全三巻で、日本の数ある偽書・偽典の中から、古典に匹敵するほど成立が古く由緒のある（?）ものを選んでいる。日本文化にある「伝承」や「秘伝」の意味を深く考えさせるマニアックな学術書だ。凡例・解題がそれぞれの作品に付き、1ページのうちに上を本文、下を脚注の部分にあて、読みやすくしている。巻末に全体の解説がある。本巻は吉備真備や安倍晴明、源義経を始祖・作者ということにしていて、暦学・呪術・兵法など、実戦に役立つ奥義書（偽書だが）を集めている。私教類聚（逸文）…吉備真備が子孫のために書き残した教訓。兵法秘術一巻書…漢の張良が黄石公から伝授された42か条からなる兵法の呪法書。義経百首…源義経が遺した和歌の形による兵法の奥義。簠簋内伝金烏玉兎集（抄）…安倍晴明・作とされる。中世の陰陽道書、暦数書。仏教的な占いの書というべきか。簠簋抄（序）…『簠簋内伝』の注釈書。商人の巻物（秤の本地）…商人が自らの起源や由来を証明した書。河原由来書…近世の被差別部落の最も古い由来書。