長崎の鐘はほほえむ

永井博士の随筆を数冊読みましたがその背景も知りたくなり乙女峠とこの本を読みました。浦上地区の復興は強い信仰により成し遂げられていたことは幸いなことです。乙女峠の信仰者の強さを永井博士もお持ちです。博士の臨終のとき・子供達のその後は博士でも書くことはできなかったことでそれを息子さんの筆により知ることができました。病院に移動する光景・その日のうちに容態が悪化しての臨終場面・病院で博士の実弟が子供達と博士といっしょに写真撮影をした場面なども詳しく書かれ、その様子を思い浮かべることができるくらいですが不思議なことに悲しい・つらいという涙でなく深い愛情・家族のきずなに感動して涙が出ました。昇天してもずっと子供達に心の中にはおとうさん・おかあさんは生き続けて導いている。幼少期に父母から受けた愛情・叔父さんの力添え・浦上の人達・心の結び付きがいかに人を支え育むか誠一さんの文で博士のお考えや行動が更に詳細に知る事もできました。そのひとつ前の永井博士のご両親の生活にも思いを馳せました。博士の様子も重篤な病床にあるのに強い信仰から生まれる活力・親としての責任・医師としての使命も強く感じられます。しかし読み進むと急に涙する章もありますので電車の中では読まず静かな家の中で読んでいました。戦争・原爆被害などはあまりに悲惨なつらい出来事であり経験のない私には想像しても想像の世界でしかなくまた起こってはいけないと強く祈る出来事です。永井博士や誠一さんの随筆を読み人の心のあるべき姿に接しすがすがしささえ感じる。今生きている皆さんと共に読んでいきたい本です。