ステロイド療法の極意

地味ながら良著でした。本書はステロイドの作用機序から始まる真面目な作りで、各ステロイドの解説、疾患・患者背景別の使用例、副作用と対処法、からなります。各章は分担執筆で、それぞれの章ごとにレファレンスもきちんと整理されています。私は小児科領域についてしか評価できませんが、たとえばわかりにくいクループ症候群へのステロイド投与法、高血圧に伴うPRES、などよくある問題だけどあまり記載のない事柄に言及されていることは良かったです。また周術期にステロイドをどうすべきかのあたりも参考になりました。もちろん各領域の先生は、ステロイドについては効果のみならず副作用についても熟慮して使用されることと思いますが、ちょっと思い出しそびれたときなど、大いに役立ちそうです。